知育アプリの時間も、スクリーンタイムに入る?

この記事の内容
はい、基本的には入ります。「知育」「学習用」とつく画面の時間なら合計から外してよい、とはっきり線を引いている主な目安はありません。
結論から言うと:米国小児科学会(AAP)をはじめとする主な目安が重視しているのは、時間を「勉強」と「娯楽」に仕分けることではありません。大切にしているのは、中身の質、保護者がかかわっているか、そして画面の時間が睡眠や体を動かすこと、人と顔を合わせてすごす時間を削っていないか、です。
とはいえ、自分で考えて手を動かしている時間と、ただ受け身で見ている時間のあいだには、常識で考えてもはっきりしたちがいがあります。公式なルールがなくても、そのちがいには注目する価値があります。
私たちがつくっている数のアプリも、まぎれもなく「スクリーンタイム」の一部です。だからこそ、この問いには宣伝ぬきで、正直に向き合う必要があります。ここでは、国内外の目安が実際に大切にしていること、「知育か娯楽か」という線引きが思われているほど公式なものではない理由、そしてアプリを細かく仕分けしなくてもできる、実際的な考え方を紹介します。
知育アプリはスクリーンタイムに入らない、という決まりはある?
主な目安のどれも、そこにはっきりした線を引いていません。AAPの現在の考え方も、「教育的」とつけばなんでも1日の合計から外してよい、というものではありません。保護者にすすめているのは、一貫した上限を決めて質の高い内容を選ぶこと、幼い子とはいっしょに見たり遊んだりすること、食事中や寝る前の1時間など、画面を使わない時間をつくることです。「知育」というラベルがついているだけで、自由に使ってよいことにはなりません。
日本の目安は、何と言っている?
日本では、日本小児科医会が2004年の「子どもとメディア」についての提言で、2歳まではテレビやビデオの視聴を控えること、すべてのメディアにふれる時間は合わせて1日2時間までを目安にすること(テレビゲームは1日30分まで)、授乳中や食事中は見ないこと、子ども部屋にテレビやパソコンを置かないことなどを呼びかけました。その後も「スマホに子守りをさせないで!」というリーフレットで、長時間の利用への注意をうながしています。同じ年には日本小児科学会も、乳幼児期のテレビ・ビデオの長時間視聴が、ことばの発達が遅れる可能性を高めると提言しています。
ここで目を引くのは、どの提言も「知育の内容なら別枠」とはしていないことです。2時間という目安は、テレビやビデオ、ゲームなど、すべてのメディアを合わせた時間についての考え方です。
学校のタブレットはどう考える?
いまの小学生は、文部科学省のGIGAスクール構想で1人1台の端末を持ち、授業でも宿題でもそれを使います。だからこそ文部科学省は、端末を使うときの健康への配慮について保護者向けのリーフレットをつくり、目を画面から30cm以上離す、30分に1回は20秒以上画面から目を離して遠くを見る、少なくとも寝る1時間前からはデジタル機器の利用を控える、といった目安を示しています。使う時間については、使い方にもよるので一概に何時間までならよいとは言えない、としたうえで、使う時間があまりに長くなると、人とのリアルなかかわりや体験活動の時間が減ってしまうと指摘し、家庭全体でのデジタル機器の使い方を考えるよう呼びかけています。
つまり国の目安も、「勉強のための画面だからいくら使ってもよい」とはしていません。勉強の画面にも目や睡眠への配慮がいり、ほかの大切な時間を削っていないかが大事だ、という立場です。こども家庭庁が毎年行っている「青少年のインターネット利用環境実態調査」でも、0〜9歳の子どもの保護者が調査の対象になっています。小学校に上がる前から、画面はもう暮らしの一部です。
では、目安が本当に大切にしていることは?
- 中身の質。本物の力を育てているか、それともタップするたびに音とアニメーションでほめるだけか。くわしいチェックポイントは算数アプリの選び方にまとめています。
- 状況。保護者が近くにいて、かかわっているか、少なくとも何をしているか知っているか。それとも子どもがひとりで、終わりの決まっていない時間を端末とすごしているか。
- 何の時間を削っているか。同じ20分でも、それが睡眠や外遊び、家族の時間を削っているのか、本当に手持ちぶさたな時間を埋めているのかで、意味はまるでちがいます。

公式ルールがなくても使える、実際的な見分け方
公式な線引きはなくても、実際に頼りになる大まかな見分け方があります。次の3つのサインで、どれもアプリのラベルとは関係ありません。
| サイン | 受け身に近い | 能動的に近い |
|---|---|---|
| 画面の中で起きていること | ほとんど見ているだけで、操作は少ない | 答える、選ぶ、つくる、解く |
| 終わり方 | 大人が止めない限り、ずっと続いていく | 自然な区切りが、はじめから組みこまれている |
| 終わったあと | 「あと1回だけ」が多い | たいてい落ち着いていて、次のことに移れる |
どれも、アプリを細かく仕分ける必要はありません。1回ごとに判定するというより、何回か様子を見ているうちに傾向に気づく、くらいの感覚で十分です。私たちの99 Math Animalsも、ゲームを1つ終えて新しい動物に出会ったところで、自然に区切りがくるようにつくっています。この表の右の列を目指しているからですが、うまくいっているかどうかを決めるのは私たちではなく、遊んだあとのお子さまの様子です。


家庭のルールは、子どもといっしょに
日本小児科医会の提言も、文部科学省の保護者向けリーフレットも、時間の数字と並んで、メディアや端末をいつどのように使うかを、子どもと話し合って決めることをすすめています。大人が一方的に決めた上限より、自分も関わって決めたルールのほうが、子どもは守りやすいものです。
- 2歳ごろまで。日本小児科医会の提言では、テレビやビデオの視聴は控えることがすすめられています。使うとしても短く、大人がいっしょに。
- 年少〜年長。時間と場所を決め、食事中や寝る前は使わない。できるだけ保護者がそばにいて、終わったら何をしたかを話してもらいます。
- 小学生。学校の端末の宿題も合わせて1日の流れを考え、寝る1時間前からは使わない。どのアプリを、いつ、どれくらい使うかを、子ども自身にも決めてもらいます。
算数アプリの30分と、アニメの30分は同じ?
同じとは限りませんが、算数アプリだから必ずよいとも限りません。本当に手ごたえがあり、ていねいにつくられた知育アプリは、上の「能動的か受け身か」「すっと終われるか」という問いでよい結果になりやすく、それは意味のあるちがいです。けれども、広告だらけで、レベルが終わりなく続き、自然な区切りのない「知育」アプリは、娯楽のアプリとまったく同じようにふるまうことがあります。差をつけるのはラベルではなく、アプリのつくりと使い方です。
よいアプリなら、いくら使ってもいい?
いいえ。中身が本当によくても、睡眠や体を動かすこと、人と顔を合わせて遊ぶことに使えたはずの時間を使っていることに変わりはありません。どの目安も、何であれ無制限に使うのではなく、無理のない上限を一貫して守ることをすすめています。日本小児科医会の1日2時間という目安も、文部科学省の就寝前や目への配慮も、同じ方向を向いています。質の高いアプリなら暮らしの中に取り入れる価値はありますが、だからといって上限を気にしなくてよいわけではありません。
保護者の方からよくある質問
知育アプリの時間もスクリーンタイムに数える?
基本的には数えます。「教育的」な画面の時間を合計から外す主な目安はありません。AAPや日本小児科医会の考え方は、時間を種類で分けることより、中身の質、保護者のかかわり、睡眠や外遊びなどの時間を削っていないかを重視しています。
幼児のスクリーンタイムは1日何時間まで?
日本小児科医会は2004年の提言で、2歳まではテレビやビデオを控え、すべてのメディアを合わせて1日2時間までを目安にするよう呼びかけています。時間だけでなく、食事中や寝る前は使わない、いっしょに見る、といった使い方も同じくらい大切です。
学校のタブレットの宿題も、スクリーンタイムに入る?
目や睡眠への影響という点では同じ画面です。文部科学省は、目を画面から30cm以上離す、30分に1回は20秒以上遠くを見る、寝る1時間前からは使わないといった目安を示しています。宿題の時間もふくめて、1日全体のバランスで考えるのがおすすめです。
良いスクリーンタイムかどうかは、どう見分ける?
子どもが受け身で見ているだけでなく自分で手を動かしているか、自然な区切りがあるか、終わったあとにどんな様子かを見てください。落ち着いて次のことに移れるなら、よいしるしです。アプリや番組の種類に関係なく使える見方です。



