家でできる数遊び:身近なもので数に親しむ

ふかふかのラグに座り、靴下とミニカーを1列に並べて数える保護者と小さな子ども。英語で「Little & often(少しずつ、何度も)」「Praise the effort(がんばりをほめる)」と書かれている。
この記事の内容
  1. 効くのは「少しずつ、何度も」
  2. 食卓や家の中にあるものを数える
  3. お風呂、散歩、すきま時間の数遊び
  4. トランプ、すごろく、お店やさんごっこ
  5. 台所でいっしょに数える
  6. 画面やアプリは、どう位置づける?
  7. ドリルではなく、遊びのままにするコツ

結論から言うと:家での数の練習でいちばん役に立つのは、短くて、遊びの気分のままで、家にあるものでできることです。プリントもカードも計画もいりません。ボタンをひとにぎり、階段、それに数分あれば十分です。長い1回より、短く何度も。大人の「やらせたいこと」より、子どもの興味についていくほうがうまくいきます。

4歳から7歳ごろ、年中さんから小学1年生くらいまでの子の多くは、物を数えること、「ご」ということばと「5」という数字を結びつけること、そして数が身の回りのあちこちにあると気づくことを学んでいる最中です。進み方は子どもによってずいぶんちがい、それで普通です。ここで紹介する遊びは、特別な時間をつくるためではなく、ふだんの生活の中にまぜこむためのものです。

効くのは「少しずつ、何度も」

日曜日にがんばって30分取り組むより、ほぼ毎日、朝ごはんのときに2分数えるほうが効果があります。子どもは、実際の生活の中で、何度も、気楽に数を使うことで数を身につけていくからです。ですから、目指すのは授業をすることではなく、1日のあちこちに数える場面を散りばめて、軽い気持ちのまま続けることです。ぶどうを4つ数えたところで興味がなくなったら、4つでおしまい。それは失敗ではなく、成功です。

プレッシャーはかけないでください。正しい答えだけでなく、がんばったことや挑戦したことをほめます(「1段も飛ばさずに数えたね、すごい」)。数がまちがっていたら、大人が正しく言い直して、そのまま先へ進めばかまいません。大さわぎする必要はありません。まちがえながら、数え方は身についていきます。

食卓や家の中にあるものを数える

身の回りのものは、子どもがもともと興味をもっているので、どんな教材よりすぐれた数の道具になります。できそうなものから、ひとつずつ試してみてください。

  • おやつを数える。ぶどう、せんべい、ボーロ、えだまめ。「2つ食べたら、あといくつ?」は、「ひき算」ということばを使わないひき算です。
  • お箸を並べる。家族が4人なら、お箸も4膳、お茶わんも4つ。1つに1つを対応させる練習が、お手伝いの中に自然に入っています。
  • 片づけで数える。ミニカーを5台、積み木を5個と箱に入れながら数えると、まとまりの感覚が育ちます。
  • 階段を数える。のぼりながら、声に出していっしょに。慣れてきたら、途中の3段目から続きを数えてみます。これは思ったよりむずかしい挑戦です。
  • 洗濯物で数える。靴下を2つずつペアにしていくと、2とびの数え方の入り口になります。
キッチンのテーブルで、小皿にのったぶどうを数える子どもの手。
「2つ食べたら、あといくつ?」プリントのいらない、ひき算です。
テーブルのそれぞれの席に、フォークを置いていく子どもの手。
4人なら4本。夕ごはんのお手伝いが、そのまま1対1の対応の練習になります。

私たちは数える遊びのアプリをつくっていますが、自分たちの家の食卓でも、やっぱりボタンを数えています。手でさわって数えるのは、アプリより劣るものではありません。物を持って、動かして、数え終わったら手もとからなくなる。その体験こそが、「5」という数を実感のあるものにしていくのです。

お風呂、散歩、すきま時間の数遊び

  • お風呂で10数える。「肩までつかって、10数えたら出ようね」は、日本の家庭で昔から続く数の練習です。慣れたら20まで、10から逆に、2とびで、と少しずつ変えていけます。
  • 散歩で数字さがし。家の番地、バスの番号、駅の「〇番線」、スーパーの値札。「3を見つけたら教えてね」。
  • エレベーター、時計、カレンダー。階数のボタン、電子レンジ、時計、カレンダーの数字を読むのも、立派な練習です。
  • じゃんけんグリコ。階段で、グーで勝ったら「グ・リ・コ」で3段、チョキは「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」、パーは「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」で6段進みます。体を使いながら、自然に数を数えることになります。
  • かくれんぼの鬼。「10数えたら探しにいくよ」は、それだけで数を唱える練習です。20、30と増やしていけます。

床にマスキングテープを貼って、1から10(または20)までの数の道をつくるのも、いちばん安くて応用のきく道具のひとつです。「3つ進んで、2つもどる」「言われた数の上に立つ」。数えることが体ぜんぶを使う遊びになり、小さい子ほど喜びます。

トランプ、すごろく、お店やさんごっこ

  • トランプ。数字の大きいほうが勝つ「戦争」、同じ数字をそろえる「ババ抜き」や「神経衰弱」、順番に並べていく「七ならべ」。どれも、数字を読んだり、どちらが大きいかをくらべたりする、楽しい練習になります。
  • すごろく。サイコロの目の数だけコマを進めます。サイコロの点の並びは、数えずにぱっと数がわかる力(サビタイジング)も育てます。サイコロを2つにすれば、立派なたし算の練習です。
  • お店やさんごっこ。おもちゃのお金や1円玉・10円玉で、おやつを「売り買い」します。10円玉1枚が1円玉10枚と同じ、と気づくことは、のちの10のまとまりの考え方につながります。
年齢・学年の目安楽しみやすい数遊びの例
3〜4歳ごろ(年少)お風呂で5や10まで数える、おやつを1つずつ数える、家族の人数分のお箸を並べる
4〜5歳ごろ(年中)サイコロ1つのすごろく、階段を数える、トランプの数字を読む、散歩で数字さがし
5〜6歳ごろ(年長)神経衰弱やババ抜き、じゃんけんグリコ、20まで数える、「2つ食べたら、あといくつ?」
6〜7歳ごろ(小1)サイコロ2つのすごろく、七ならべ、10円玉と1円玉で10のまとまり、カレンダーで「あと何日?」

台所でいっしょに数える

台所は、実際に使われている数であふれています。いっしょに料理をすれば、最後においしいおやつが待っている数の練習になります。数える係を、子どもにまかせてみてください。

  • 材料を数える。卵を3つ、計量スプーンで砂糖を大さじ2杯、塩をひとつまみ。
  • タイマーをセットする。キッチンタイマーの数字が減っていくのを、いっしょに見守ります。
  • 公平に分ける。「いちごが8こ、2人で分けたら1人何こ?」は、わり算という名前がつく前のわり算です。
  • 半分に切る。おにぎりやケーキを半分、さらに半分に。2年生の算数で出会う2分の1や4分の1への、やさしい最初の一歩です。
お菓子づくりの途中、ボウルに卵を入れる子ども。テーブルにはほかに卵が2つある。
卵を3つ、小麦粉をカップ2杯、塩をひとつまみ。台所には、実際に使われる数がたくさんあります。

どれも授業の計画はいりません。どうせ料理はするのですから、数を声に出して、数える係を子どもにまかせるだけです。

画面やアプリは、どう位置づける?

アプリはたくさんある道具のひとつで、手を使う遊びの代わりではなく、それと並べて少しずつ使うときにいちばん生きます。よくできた数のアプリは、数字を読んだり数えたりする練習を、やさしく、根気よく受けとめてくれる場所になります。10回目のまちがいにも、ため息はつきません。これはアプリならではの強みです。けれども画面の中では、5つのぶどうの重さを手のひらで感じたり、数えながら階段をのぼりきったりはできません。この年ごろには、そうした体ごとの、ときにはちょっと散らかる経験が、実は大きな役割を果たしています。

ですから、画面が悪いとも、アプリが食卓での数遊びの代わりになるとも言いません。絵本と同じように、ほかの遊びとまぜながら、ほどよい量で使うよい道具のひとつと考えてください。選び方は算数アプリの選び方に、画面の時間の考え方は知育アプリもスクリーンタイムに入る?にまとめています。

ドリルではなく、遊びのままにするコツ

子どもを数ぎらいにするいちばんの近道は、数の時間をテストのように感じさせることです。楽しいままにしておくコツをいくつか挙げます。

  • 子どもの興味についていく。10日続けて恐竜を数えたがるなら、恐竜を数えましょう。
  • もっとやりたいところでやめる。いい気分で終われば、また次もやりたくなります。
  • ときには先生役をまかせる。「スプーン、いくついる?」と聞けば、考えるのは子どもの番です。
  • わざとまちがえて、見つけてもらう。「いち、に、よん?」と言ってみましょう。大人のまちがいを直すのは、5歳の子にとってうれしいものです。
  • 結果より、がんばりをほめる。「自分で考えたね」は、「頭いいね」より心に届きます。

数えるだけでなく数字を書く練習もしたいときは、それはまた別の、時間をかけて育てる力です。数字の書き方の教え方にまとめています。

数の練習に「これだけやればいい」という量はありませんし、追いつかなければならない予定表もありません。ふだんの1日に、遊びの数分をほぼ毎日まぜこむ。それで十分です。食卓でボタンを数える時間は、見た目よりずっと大きな役割を果たしています。

保護者の方からよくある質問

プリントを使わずに、家で数に親しむには?

1日の中で本物のものを数えます。おやつ、階段、おもちゃ、食卓のお箸。トランプやすごろくで遊び、外では看板や番号の数字をさがします。座ってやるドリルより、数分ずつの短い遊びのほうが身につきます。

幼児の数の練習は、1日どれくらいがいい?

決まった量はありません。4〜7歳ごろの多くの子には、ふだんの活動にまぜた数分を、ほぼ毎日で十分です。まだ楽しんでいるうちにやめ、予定表より子どもの興味についていきましょう。

お風呂で数を数えるのは意味がある?

あります。数を順番に唱えることは、物を数えたり、たし算をしたりする土台です。慣れてきたら、20まで、10から逆に、2とびで、と少しずつ変えると、お風呂の数分が無理のない練習になります。

数のアプリは、子どもにとって良い?悪い?

どちらとも言えません。アプリは役に立つ道具のひとつで、手を使う遊びと並べて少しずつ使うときにいちばん生きます。根気よくくり返せるのは強みですが、本物の物を持って動かす経験の代わりにはなりません。

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