新学期の算数:続く習慣のつくり方(4月と2学期)

この記事の内容
新しい学年や学期の始まりに、家で算数の特訓をする必要はありません。
結論から言うと:最初の2週間ほどで保護者にできるいちばん役立つことは3つ。期待しすぎないこと、毎日同じタイミングで5〜10分の小さな習慣をひとつつくること、そしてうまくいかない日があっても深読みせず、クラスが落ち着くまで時間をあげることです。
私たちは、多くの家庭で放課後の習慣のひとつとして使われている、数えて書くアプリをつくっています。その点は差し引いて読んでください。ただ、ここで書くのは製品の話ではなく、新しいクラスに慣れていく過程についての一般的な考え方です。
算数の習慣を見直す「新学期」は年に2回
日本の学校には、算数の習慣を見直すきっかけが年に2回あります。ひとつは4月の新学年です。1年生は入学、2年生以上は進級で、クラス替えや新しい担任の先生、新しい教科書と、変わることがたくさんあります。春休みは短いので、4月の課題は「忘れた」より「慣れない」が中心です。もうひとつは夏休み明けの2学期で、地域によって8月下旬か9月に始まります。こちらは夏のあいだのにぶりと、運動会などの行事が続く忙しさが重なりやすい時期です。
| 時期 | 算数でよく起こること | 家でできること |
|---|---|---|
| 4月(1年生) | 最初の単元で、ものとものを1対1で対応させたり、10までの数の読み方・書き方を習ったりする。学校生活に慣れることが最優先で、とても疲れやすい | 早寝と朝ごはん。数字の書き順を教科書に合わせるくらいで十分 |
| 4月(2年生以上) | 新しい先生のノートの使い方や、宿題の形式に慣れるまでとまどう | 宿題をする場所と時間を決める。わからないところを、ことばで言えるかを見る |
| 2学期(1年生) | 20までの数を学び、たとえば10月ごろにくり上がりのあるたし算、11月ごろにくり下がりのあるひき算へ(時期は教科書によって少しちがう)。計算カードの宿題が出ることも多い | 「あといくつで10?」の遊び。指やブロックを使ってかまわない |
| 2学期(2年生) | 10月ごろから、かけ算と九九が5の段・2の段から始まる。九九を唱える宿題が出ることも多い | お風呂や車の中で、九九を聞く係になる。上がり九九・下がり九九・ばらばら九九を楽しむ |
新学期の前に、算数の特別な練習は必要?
たいていは必要ありません。4月の最初の数週間、先生は学級のルールづくりや学校生活のリズムを整えることに多くの時間を使い、算数の最初の単元も無理のないところから始まります。1年生なら、最初は数をくらべたり、10までの数を数えたり書いたりするところからです。
短い復習は、子どもが自信をもって教室に入る助けにはなりますが、必須ではありません。始まる直前の数日につめこむと、本当の差を埋めるより、ストレスを増やすことのほうが多いのです。夏休みのあいだに忘れてしまったのでは、と心配な場合は、少し別の話になります。実際どれくらい忘れるのか、何が役立つのかは夏休みに算数を忘れるのは本当?にまとめています。
算数より先に整えたいこと
4月の1年生にとって、家でできるいちばんの算数の準備は、実は算数ではありません。早寝早起きと朝ごはんで体のリズムを整えること、筆箱に削った鉛筆を毎晩そろえておくこと。入学準備の定番になっている、算数セットのおはじきやブロックひとつひとつへの名前つけも、子どもに「これは何こある?」と数えてもらえば、それだけで立派な数の時間になります。
2学期の始まりも同じです。夏休みのあいだに夜型になった生活リズムを、始業式の1週間ほど前から少しずつもどしておくと、最初の数週間がずっと楽になります。眠い朝に算数の授業についていくのは、大人でもむずかしいものです。
最初の数週間、宿題はどこまで手伝ってもいい?
ふだんより多めに手伝って、かまいません。新しいリズム、新しい先生の期待、新しいクラスのルール。多くの子は、11月や2月より、4月や9月のほうが少し多めに手を貸してもらう必要があります。この時期のねらいは、代わりに解いたり、全部の答えを正しくそろえたりすることではなく、そばに座って、行きづまったところから子どもが自分で動き出せるように助けることです。宿題は、先生がクラスの様子をつかむ手がかりでもあります。年度や学期の初めのまちがいは、かくすべきものではなく、先生にとって役に立つ情報です。
順調に慣れてきているサインは、たとえば次のようなものです。
- とまどいが、1か月変わらずに続くのではなく、2週間ほどで晴れていく。
- 宿題の時間にイライラしても、それが学校そのものへの気持ちにまで広がらない。
- まだ解けなくても、どこで行きづまっているかを自分のことばで言える。ついていけていて、速さを育てている途中だというしるしです。

続く算数習慣のつくり方
長続きする習慣は、張り切った計画ではなく、地味でくり返せるものです。日曜日に親子とも気の重い1時間を過ごすより、毎日同じタイミングの5〜10分のほうがずっとうまくいきます。新しく時間をつくるのではなく、すでに毎日していることにくっつけるのがコツです。おやつのすぐあと、お風呂の前、習いごとへの移動中。低学年なら、宿題の音読や計算カードのすぐあとに、数の遊びをひとつだけ足すのも自然です。数分でできる遊びのアイデアは家でできる数遊びにまとめています。キッチンタイマーで「5分だけ」と終わりを見える形にすると、取りかかるハードルも下がります。

担任の先生には、いつ伝える?
思っているより早めに、気軽に伝えてかまいません。連絡帳にひとこと、またはお迎えや電話のときに、「2週間ほど、くり上がりのたし算の宿題でつまずいていますが、この時期にはよくあることでしょうか」と聞くだけで、先生には役に立つ情報になり、たいていはすぐに安心できる返事がもらえます。先生はクラス全体が慣れていく様子を見ていますが、保護者に見えるのは自分の子の様子だけです。家からだけでは、本当に気にするべきことなのかを判断するのはむずかしいのです。個人面談を待たずに聞いてかまいません。
家庭訪問や個人面談の時期は学校によってちがいますが、そうした場があるときは、家での宿題の様子を具体的に話すと、先生も学校での様子と照らし合わせやすくなります。「何分くらいかかるか」「どの問題で手が止まるか」「声をかけると進めるか」の3つを伝えるだけでも、十分な手がかりになります。
- とまどい:新しいルールや宿題の形式に少しとまどうのは、最初の数週間なら普通です。3〜4週間たっても変わらないなら、先生にひとこと。
- イライラ:宿題でときどきイライラするのは普通です。ほとんど毎晩、涙や拒否になるなら、先生に伝えてください。
- わからなさ:何をすればいいか声かけが必要なのは普通です。授業で何が起きているかわからない、と本人が言うなら、先生に伝えましょう。
最初の数週間を、気楽にすごすために
新しい学年、新しい先生、新しいクラスの友だち。算数の問題がひとつも出てくる前から、慣れることはたくさんあります。とくに4月の1年生は、新しい生活そのものに疲れて、1〜2週間はできるはずのことができないように見えることもあります。疲れだけで、力のある子が「遅れている」ように見えるのです。まちがいはリズムを取りもどす途中の一部で、何かがおかしいしるしではありません。最初のまちがいを大ごとにすると、本当の差を埋めるより、算数への苦手意識を育ててしまうことのほうが多いのです。学校でのストレスが、宿題をめぐるもめごとより大きなものに見えるときは、算数が嫌いな子・算数への不安に、よく見られる姿と助けになることをまとめています。

保護者の方からよくある質問
夏休み明け、算数の習慣をどう取りもどす?
小さく始めて、続けることです。毎日同じタイミングの5〜10分は、ときどきの長い時間よりうまくいきます。習慣が根づくには親子とも少し時間がかかるので、うまくいっているかどうかは2〜3週間たってから判断しましょう。
新学期の前に、算数の復習や先取りをしたほうがいい?
必須ではありません。4月の最初の数週間は学校生活に慣れることが中心で、算数も無理のないところから始まります。短く気楽な復習は自信につながりますが、直前につめこむと、差を埋めるよりストレスを増やしがちです。
新学期の最初の数週間、算数についていけていないように見えます。心配?
まだ心配しなくて大丈夫なことがほとんどです。多くの子は、新しい学年のペースや先生の期待に慣れるまで数週間かかります。3〜4週間たっても、とまどいやイライラがおさまらないときは、連絡帳などで先生にひとこと伝えるのが次の一歩です。
新学期の宿題は、どこまで手伝うのが普通?
学年の後半より多めで普通です。全部の答えを正しくそろえるより、そばに座って、行きづまったところから動き出せるように助けましょう。初めのころの宿題は、クラスの理解度を先生が知るための手がかりで、お子さまが合格しなければならないテストではありません。



