算数の宿題、親子ゲンカにしないための関わり方

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算数の宿題がいつも涙で終わるなら、いちばん役に立つ変化は、たいてい「もっとがんばる」ことではなく、手伝う回数を減らし、手伝い方を変えることです。
結論から言うと:アメリカで小学1・2年生438人を追った研究では、算数に不安を持つ保護者の子どもは、1年間で身につける算数がはっきり少なくなっていました。ただしそれは、その保護者がひんぱんに宿題を手伝っていた場合だけ。手伝うことが少なかった家庭では、その差は消えていました。食卓での大人の役目は、すべての答えを正しくすることではなく、夜を短く、落ち着いたものにすることです。
宿題を手伝うと、逆効果になることがあるのはなぜ?
シカゴ大学の研究者たちは、小学1・2年生438人とその保護者を1年間追いかけました(Maloneyら、Psychological Science誌、2015年)。算数への不安が強いと答えた保護者の子どもは、同級生にくらべて、1年間で伸びた算数の力が1学年分の3分の1以上も少なく、年度末には子ども自身の算数への不安も強くなっていました。
大事なのはここからで、希望の持てる部分でもあります。この差が見られたのは、算数に不安を持つ保護者が、宿題をよく手伝っていると答えた家庭だけでした。手伝うことがめったにない家庭では、保護者の不安と子どもの学びのあいだに、はっきりした関係は見られませんでした。不安は、なんとなく空気で子どもに伝わっていたのではありません。宿題のページを通して伝わっていたのです。
ここは少し立ち止まって考える価値があります。大人の役割の見方が、がらりと変わるからです。問題は、保護者が算数を苦手なことそのものではありません。ひんぱんで、直してばかりで、緊張した手伝いが、子どもが心から信頼している人から届くこと。それが問題なのです。
自分の算数ぎらいが伝わっていないか、どうしたらわかる?
わざとそうしている人は、ほとんどいません。怒っているように見えることもまれです。たいていは、なにげない小さなひとことや態度に表れます。
- 「お母さん(お父さん)も算数は苦手だったなあ」。やさしく、なぐさめのつもりで言っても、「やめてもいいんだ」と聞こえます。
- 「そうじゃないよ、ちゃんとしたやり方を教えるね」。子どものやり方は、ゆっくりでも正しかったのに。
- 鉛筆に手をのばす。一度でも。それだけで、そのページがだれのものかが変わります。
- ため息、時計をちらり、数分おきの「あと何問?」。
- 終わったときの、目に見えるほっとした顔。子どもはそれを正確に読みとります。やっぱり、そんなにいやなことだったんだ、と。
どれも性格の欠点ではありません。早く今夜の宿題を終わらせたいという気持ちと緊張が、そうさせるだけです。気づくだけで、直すことの大半はすんでいます。
直すかわりに、何をすればいい?
試す価値のある順に、4つの変化を挙げます。
- 鉛筆を持たない。大人が数字をひとつでも書くと、そのページは子どものものではなくなります。かわりにその行を指さして、待ちます。
- まちがいを指摘する前に、「どうやってやったの?」と聞く。思いがけない道すじで正解にたどり着いていることもあります。本当にまちがっているときも、説明している途中で、子ども自身が気づくことがよくあります。そのほうが、教えられるよりずっと価値があります。
- 始める前に、終わりを決める。「タイマーが鳴るまでやろうね」は守れる約束です。「終わるまでやろうね」は、その夜しだいの約束です。
- 練習と丸つけを分ける。練習は子どもの仕事で、ごちゃごちゃでかまいません。同じ机で同時に「やる」と「直す」をしようとすると、10分が1時間に変わります。学校から家庭での丸つけを頼まれている場合も、終わってからまとめて。まちがいを直させるか、そのまま出すかは、担任の先生の方針に合わせてください。先生はまちがいの跡から、クラスがどこでつまずいているかを見ています。

日本の小学生の宿題:音読、計算ドリル、計算カード
日本の低学年の宿題には、おなじみの顔ぶれがあります。国語の音読、漢字や計算のドリル、そして1年生のたし算・ひき算カードや2年生の九九のように、声に出して読む計算カード。音読カードや計算カードには、家の人がサインをしたり、はんこを押したりする欄がついていることも多いでしょう。
ここでの家の人の役目は、先生のかわりではなく、聞き役です。声に出して読むタイプの宿題は、まさに「判定せずにそばにいる」練習の場になります。つまってもすぐに答えを言わず、数秒待つ。言えたら、サインといっしょに「よく聞こえたよ」とひとこと。計算ドリルは、学校で習ったことを確かめるためのものなので、家で新しいやり方を教えこむ場ではありません。
宿題の時間は、どのくらいが目安?
日本では、家庭学習の時間の目安として「学年×10分」、あるいは「学年×10分+10分」をかかげている学校がたくさんあります。法律や全国共通の決まりではなく、学校や地域によって違いますが、多くの場合、宿題と自分で進める学習をあわせた、全教科の合計の目安です。算数だけの時間ではありません。
| 学年 | 家庭学習の目安(全教科の合計) | いつも長くかかるなら |
|---|---|---|
| 年長 | 宿題はふつうなし。絵本の読み聞かせなど | 園で何を楽しんでいるかを聞いてみる |
| 小1 | 10〜20分ほど | 目安の時間で切り上げ、連絡帳で先生に伝える |
| 小2 | 20〜30分ほど | 大変な夜が2日続いたら、先生に相談 |
| 小3 | 30〜40分ほど | 量を減らしても宿題のねらいは果たせるか、聞いてみる |
大切なのは、ちょうどの数字ではありません。終わりがあることです。夜の宿題に「ここから、ここまで」があるとわかっている子は、交渉することがないので、早く取りかかり、言い争いも減ります。お子さまの学校に家庭学習の手引きがあれば、そちらを優先してください。

それでも泣いてしまったら?
やめてください。罰でもごほうびでもなく、ただ、やめる。泣いている7歳は算数を学んでいませんし、泣きながら仕上げたページは、「算数はつらいもの」という、そのページよりずっと長く残る印象を植えつけてしまいます。
そのうえで、連絡帳に正直に1行書きます。「今日は15分でやめました。むずかしかったようです」。それは告白ではなく、役に立つ情報です。この年齢の宿題は、クラスが本当はどこにいるのかを先生が知るための、大事な手がかりでもあります。
ほとんどの夜がこうなる状態が数週間以上続くなら、まずは担任の先生に伝えてください。数に対する長く続くつらさは、大変な1週間とは別のもので、学校にはいくつもの手立てがあります。その見分け方は算数が苦手なだけ?に、子どもの側から見た同じ問題は「算数きらい」は算数不安かもにまとめています。
私たちのアプリの位置づけ
同じシカゴ大学のグループが同じ年に科学誌Scienceに発表した、もうひとつの研究があります(Berkowitzら、2015年)。家族に、タブレットで毎晩いっしょに取り組む短い算数の活動、つまり数分の小さなお話と数の問題を用意したところ、1年間で子どもの算数の成績が伸び、その伸びは保護者が算数にいちばん不安を持っていた子どもで、いちばん大きかったのです。
注目したいのは、タブレットそのものではありません。この形式が、不安な保護者にはひとりでやりにくい3つのことを、さりげなくやってくれたことです。算数を短く保ち、時間にはっきりした終わりをつくり、大人を試験官の役から降ろす。この年齢で私たちのようなアプリを使う正直な理由は、そこにあります。アプリが保護者より上手に教えられるからではありません(そんなことはありません)。採点する人にならずに、算数をするお子さまの隣に座れるからです。
アプリだけで本当の差が埋まることはありませんし、先生のかわりにもなりません。くらべて選ぶときに本当に大事なことは、算数アプリの選び方にまとめています。

保護者の方からよくある質問
算数の宿題を手伝うのは、やめたほうがいいですか?
いいえ。研究が示しているのは、手伝う回数を減らし、手伝い方を変えることで、手を引くことではありません。手伝うことがめったにない家庭では、保護者の不安と子どもの学びに関係が見られませんでしたが、それは何の支えもないこととは違います。同じ部屋にいて、時間を短くし、鉛筆は子どもに持たせておいてください。
宿題の丸つけは、親がするものですか?
学校によって方針が違います。家庭で丸つけをするよう頼まれている場合は、子どもが全部終えてから、まとめてつけるのがおすすめです。まちがいを直させるか、そのまま出すかも先生によって違うので、迷ったら連絡帳で聞いてみてください。
小1の宿題は、どのくらいの時間が目安ですか?
多くの学校がかかげる「学年×10分」や「学年×10分+10分」の目安では、1年生は全教科で10〜20分ほどです。いつもそれよりずっと長くかかるなら、がんばって押しきるより、先生に伝えたほうがよい情報です。
学校で習ったのと違うやり方で正解しています。直したほうがいいですか?
その場では、たいてい必要ありません。まず、どうやって解いたのかを聞いてみてください。ゆっくりでも正しいやり方は、立派なやり方です。学校が特定のやり方(さくらんぼ計算や式の書き方など)を大切にしているときは、食卓で直すより、先生への質問として伝えるのがおすすめです。



