子どもにお金の数え方を教えるには:1円玉から500円玉まで

テーブルの上で、硬貨を小さな山に分けている子ども。
この記事の内容
  1. お金を数えられるのは、何歳ごろ・何年生?
  2. どの硬貨から教えればいい?
  3. 5円玉や50円玉で、つまずきやすいのはなぜ?
  4. 本物の硬貨と、おもちゃのお金、どちらで練習する?
  5. 家でできる練習のしかた
  6. キャッシュレスの時代でも、お金を数える練習は必要?
  7. おつりは「ひいて」より「たして」数える
  8. 1種類ずつなら数えられるのに、まぜると数えられない。普通?

多くの子は、年中〜年長ごろに硬貨の種類に気づき始めます。いろいろな硬貨がまざった中から「ぜんぶでいくら?」を数えられるようになるのは、10ずつ・100ずつのまとまりで数を考えられるようになる、小学1〜2年生ごろです。

結論から言うと:お金を数えることは、とび数えと位取りの練習そのものです。日本の硬貨は1円、5円、10円、50円、100円、500円の6種類で、「1」と「5」の形が10倍ずつくり返されています。1円玉、10円玉、5円玉と、子どもが知っているとび数えに合う硬貨から始め、100円玉、50円玉、500円玉へ。おもちゃのお金より本物の硬貨で、1種類ずつ練習するのがおすすめです。

私たちは、お金の数え方と同じとび数えを土台にした数のアプリをつくっています。アプリでお金を教えているわけではありませんが、土台が同じなので、お金の計算はいつも気になっています。この記事では、硬貨がすっと覚えられる順番、どこでつまずきやすいか、プリントではなく本物の小銭で練習する方法をまとめます。

お金を数えられるのは、何歳ごろ・何年生?

じつは小学校の算数には、お金だけを扱う独立した単元は、ふつうありません。お金は、数のしくみや計算を考える場面の身近な教材として、あちこちに登場します。1年生では120くらいまでの数を、10のまとまりとばらで考えるので、10円玉と1円玉で100円くらいまでを数えるのにぴったりです。2年生では1000までの数、さらに1万までの数を学ぶので、100円玉や1000円札まで広がります。3年生では3けた・4けたのたし算・ひき算を学び、おつりの計算がぐっと身近になります。重さを学ぶ3年生では、1円玉1枚がちょうど1グラムであることも出てきます。

園では、お店やさんごっこで硬貨にふれることもあるでしょう。硬貨の名前がわかる段階と、まざった硬貨の合計を出せる段階には、ふつう1〜2年の差があります。それは遅れではなく、数字が読めることと、その数字で計算できることのあいだにある差と同じものです。

どの硬貨から教えればいい?

お子さまがもうできる、あるいはいま練習しているとび数えに合う順番で教えると、すっと身につきます。

硬貨数え方目安の時期ポイント
1円玉1ずつ年長〜小1新しいことはなく、ただ数えるだけ
10円玉10ずつ小110とびは、いちばんやさしいとび数え
5円玉5ずつ小15とびと同じ。穴があいているので見分けやすい
100円玉100ずつ小1〜小210円玉10枚で100円。位取りの練習になる
50円玉50ずつ小2穴あきで、100円玉と同じ銀色。大きさも近い
500円玉500ずつ小2いちばん大きな硬貨。2枚で1000円

日本の硬貨のうれしいところは、「1」と「5」の2つの形のくり返しでできていることです。5円玉2枚で10円玉、50円玉2枚で100円玉、500円玉2枚で1000円札。アメリカの25セント硬貨のように、どのとび数えにも当てはまらない硬貨がありません。2とび・5とびの数え方ができている子は、気づかないうちに、5円玉や50円玉の数え方の半分を身につけています。

もうひとつ、1円玉・10円玉・100円玉は、それぞれ一の位・十の位・百の位にそのまま重なります。10円玉が10枚たまったら100円玉1枚と交換する遊びは、位取りのいちばん身近な練習です。

テーブルの上で、硬貨を種類ごとに別々の小さな山に分けている子どもの手。
合計を数える前に、まず種類ごとに分ける。それぞれの山で、とび数えのリズムがまざらずにすみます。

5円玉や50円玉で、つまずきやすいのはなぜ?

理由は2つあります。ひとつは見た目です。5円玉は金色、10円玉は茶色で、色の近い2枚です。50円玉と100円玉はどちらも銀色で大きさも近く、ちがいは穴があるかどうかくらいです。まずは、穴のある硬貨とない硬貨、金色・茶色・銀色と、見分ける手がかりを言葉にしてあげてください。

もうひとつは、「5」の硬貨がまざると、数えている途中でリズムを切りかえる必要があることです。10円玉を「10、20、30」と数えていたところに50円玉が入ると、「…30、80」と大きく跳ばなければなりません。これは、1種類ずつ数えるのとは別の、一段むずかしい力です。最初から「5」の硬貨をまぜず、どの硬貨も1種類ずつなら数えられるようになってから合わせるのが近道です。

本物の硬貨と、おもちゃのお金、どちらで練習する?

本物の硬貨を用意する手間には、それだけの価値があります。おもちゃのお金はきれいで形がそろいすぎていて、子どもが硬貨の数字や模様ではなく、色や大きさだけで判断しがちです。本物は、発行年がちがったり、すり減っていたり、たまにぴかぴかのものがまざっていたりして、一枚ずつちゃんと見ることになります。2021年からは新しい2色の500円玉も出回っているので、古いものと新しいものをくらべてみるのも楽しい観察です。財布や引き出しの小銭をひとつかみ借りるだけで、市販のセットよりよい教材になります。

テーブルに一列に並べた硬貨を、指でたどりながら数えている子ども。
一列に並べた硬貨を、声に出して数える。積み木でとび数えをするのと、まったく同じ力です。

家でできる練習のしかた

  • 1種類ずつから。10円玉だけの山を「10、20、30」と数えるのは、まざった山よりずっとかんたんです。種類をまぜるのは、あとの段階です。
  • プリントより、貯金箱。「あの本を買うまで、あといくら?」のように、小さな目標に向かって数えると、数える理由が生まれます。プリントに描かれた硬貨より、ずっと記憶に残ります。
  • 大きい硬貨から並べる。まざった硬貨の合計は、100円玉、50円玉、10円玉…と大きい順に並べてから数え足すと、まちがいがぐっと減ります。
  • 買い物で「払う係」に。「150円だから、100円玉1枚と50円玉1枚」と、出す硬貨を子どもに選んでもらいます。レジでおつりを受けとって、合っているか一緒に数えるのも、立派なひき算の練習です。
  • お小遣いを一緒に数える。お小遣いを始めたら、もらったときと使ったときに、いっしょに数えてみてください。何歳から、いくら、という決まりはありません。
貯金箱からテーブルに硬貨を出している子ども。顔と手がいっしょに写っている。
貯金箱に、いまいくら入っている?本当にある小さな目標が、数える理由になります。

キャッシュレスの時代でも、お金を数える練習は必要?

交通系ICカードやスマートフォン決済が広がり、子どもが現金のやりとりを目にする機会は、ずいぶん減りました。でも、だからこそ意識して練習する価値があります。画面の数字が変わるだけの支払いでは、「お金を払うと手元から減る」という感覚が育ちにくいからです。子どもが自分で払う場面はときどき現金にして、硬貨を数えて渡し、おつりを受けとる経験をつくってあげてください。電子マネーを使う家庭なら、残高の数字をいっしょに見て、「いくら使ったら、いくら残る?」と話すのも、立派なひき算の練習です。

おつりは「ひいて」より「たして」数える

おつりの計算は、ひき算の式で考えるより、数え足すほうが子どもにはずっとやさしくなります。350円のものを買って500円玉を出したら、350から数え始めて、50円で400、さらに100円で500。出した金額に届いたので、おつりは50円と100円で150円です。これは、1年生のひき算で「8から11まで、いくつ進めばいい?」と考えるのと同じやり方で、レジでおつりを確かめるときにも、大人がよく使っています。紙の上で「500−350」を筆算するのは3年生ごろの内容ですが、数え足しなら、100円玉や50円玉の数え方がわかった時点で、もう使えます。

1種類ずつなら数えられるのに、まぜると数えられない。普通?

はい、普通です。硬貨の種類をまぜて数えるには、数えている途中でとび数えのリズムを切りかえる必要があり、どれか1種類の山を上手に数えるのとは別の、むずかしい力です。10円玉や50円玉そのものが身についていないわけではありません。「1種類ずつならしっかり、まぜるとあやふや」は、この力を身につける途中のちょうど真ん中にいるしるしで、どこかに穴があるわけではありません。

保護者の方からよくある質問

子どもがお金を数えられるようになるのは、何歳ごろですか?

硬貨の種類がわかるのは年中〜年長ごろ、いろいろな硬貨がまざった合計を数えられるのは、10ずつ・100ずつのまとまりで数を考える小学1〜2年生ごろが目安です。名前がわかる段階と計算できる段階に1〜2年の差があるのは、ごく普通のことです。

硬貨は、どの順番で教えるのがいいですか?

1円玉(1ずつ)、10円玉(10ずつ)、5円玉(5ずつ)、100円玉(100ずつ)と、子どもが知っているとび数えに合う順に進み、50円玉と500円玉はそのあとにします。日本の硬貨は「1」と「5」のくり返しなので、ひとつの仕組みがわかると、次が楽になります。

お小遣いは何歳から始めればいいですか?

決まった年齢はありません。小学校入学などの節目に始める家庭もあれば、もう少しあとに始める家庭もあります。お金を数える練習という点では、金額よりも、もらったときと使ったときにいっしょに数える習慣のほうが大切です。

キャッシュレス決済が中心の家庭でも、現金で練習したほうがいいですか?

はい、ときどきは現金を使う場面をつくるのがおすすめです。硬貨を数えて渡し、おつりを受けとる経験は、数の力と「お金は使うと減る」という感覚の両方を育てます。電子マネーなら、残高をいっしょに確かめるだけでも練習になります。

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