10まで数えられるのは何歳?

この記事の内容
お風呂で「いーち、にー、さーん…じゅう!」と元気に唱えられる子でも、テーブルの上のミニトマトを10個、正しく数えられるとは限りません。この2つは別々の力で、ここを混同すると「うちの子、遅れているのでは」という心配が生まれやすくなります。
結論から言うと:10まで順番に唱えられる(数唱)のはだいたい2歳半〜3歳半ごろ。10個の物をひとつずつ指でさわって正しく数え、最後の数が「全部でいくつ」の答えだとわかるのは、それより遅れて4歳〜4歳半ごろが目安です。幅の両端とも、ごく普通の範囲です。
私たちは小さな子ども向けの数のアプリをつくっていて、「いち、に、しゃん」とたどたどしく始まった子が、やがて10個目のブロックに指を置いて「じゅう!」と言えるようになるまでを、毎日のように見ています。ちょうど保育園の2歳児クラスから、幼稚園・こども園の年少・年中くらいにあたる時期です。この記事では、「唱える」と「数える」の違い、2〜4歳でたどるおおよその順番、そして大きな数を急いでも近道にならない理由をまとめます。
「10まで数えられる」とは、何ができること?
ひとことで「数えられる」と言っても、その中には3つの別々の力が入っています。数唱は、数のことばを順番に言うこと。歌や唱えことばのように早くから出てきて、ひとつひとつの数の意味がわかっていなくてもできます。1対1対応は、物をひとつずつさわったり指さしたりしながら、ひとつの物にひとつの数を順番に当てていくこと。そして3つ目が集合数の理解で、最後に言った数が「全部でいくつ?」の答えになる、とわかることです。
10まで楽しそうに唱えられる子が、「おせんべい5枚ちょうだい」と言われて3枚渡してくるのは珍しくありません。唱えることばだけが、先に身についている状態だからです。

日本語ならではの「数え方」のややこしさ
日本語で数を覚える子には、ちょっとした山がいくつかあります。まず、数の言い方が2通りあること。「いち、に、さん」と「ひとつ、ふたつ、みっつ」です。さらに4は「し」と「よん」、7は「しち」と「なな」、9は「く」と「きゅう」と読み方が揺れます。お風呂では「し、しち、く」で覚えた子が、園では「よん、なな、きゅう」を耳にする、ということもよくあります。「いくつ?」と聞かれて「みっつ」と答えても「さん」と答えても、どちらも正解です。ことばの種類がそろっていなくても、物と数がきちんと対応していれば、数える力は育っています。
もうひとつが助数詞です。動物なら「いっぴき、にひき、さんびき」、鉛筆なら「いっぽん、にほん、さんぼん」と、数えるものによって音まで変わります。小さな子が「さんひき」「よんほん」と言うのは、まちがいというより、規則を自分で見つけようとしている途中のしるしです。言い方はいずれ整うので、この時期は「いくつあった?」の中身、つまり数そのものが合っているかを大事にしてあげてください。
うれしい点もあります。日本語では11が「じゅういち」、20が「にじゅう」と、10をもとにした仕組みがそのまま言葉になっていて、10から先の言い方はとても規則的です。
2〜4歳のおおよその順番
進むペースは一人ひとり違うので、下の年齢は合格ラインではなく、ゆるやかな「真ん中あたり」の目安として見てください。
| 年齢・クラスの目安 | よく見られる姿 |
|---|---|
| 1歳半〜2歳ごろ(1・2歳児クラス) | 数のことばがいくつか出てくるが、順番はばらばら。実際に物を数えることとは、まだ結びついていない。 |
| 2歳〜2歳半ごろ(2歳児クラス) | 1〜2個なら、数えずにひと目で「いくつ」かがわかることがある(サビタイジング)。「いち、に、さん」が正しい順番で出始める。 |
| 2歳半〜3歳ごろ(2歳児クラス〜年少) | 5や10まで唱えられる子が多くなる。ひと続きの長いことばのようになることも。3個を超える物を数えるのはまだ不安定。 |
| 3歳〜3歳半ごろ(年少) | 3〜5個の物を1対1で数えるのが安定してくる。同じ物を2回さわったり、ひとつ飛ばしたりするのはまだ普通。 |
| 4歳〜4歳半ごろ(年中) | 10個の物を正しく数えられることが多くなり、最後に言った数が答えだとわかるようになる。 |
20まで唱えられるのに、ブロック5個を数えまちがえるのはなぜ?
唱えるのは記憶の力で、数えるのは算数の力だからです。そして記憶の力のほうが、たいてい1年以上早く育ちます。子どもは「いち」から「にじゅう」までを、好きな歌と同じように頭の中にしまっておけますが、ひとつのことばがひとつの物に対応していることには、まだ気づいていないことがあります。上手に唱えられる子に「もっと大きい数まで」とうながしても、むずかしいほうの力は育たず、歌が長くなるだけです。1対1対応を本当に育てるのは、少ない数の、実際に手でさわれる物。お皿を見れば答え合わせができるような数え方です。
順調に育っているサイン
この時期の本当の進歩の多くは、数を数えているようには見えません。次のようなことの多くが、ゆるやかにでも見られれば、たいていは心配いりません。
- 言われなくても、数のことばをいくつか、だいたいの順番で口にする。
- 「何歳?」と聞かれると指を立てる(本数がちがっていてもかまいません)。
- ブロックの山の大きさや、お皿の残り具合など、はっきりした「多い・少ない」に気づく。
- 言う数がちがっていても、物をひとつずつ指さしながら数えようとする。
- 数え歌や指を使った手遊び(「いっぽんでもニンジン」など)が好きで、一部をいっしょに歌う。

お勉強にしないで、数える力を育てるには
いちばん役に立つのは、身近にある少ない数の物を、そばでいっしょに、短く何度も数えることです。ドリルにしないで力を育てる習慣をいくつか挙げます。
- 実際にそこにある物を数える。階段の段、お皿のミニトマト、おもちゃ箱に入れる車。お風呂の「10数えたら出ようね」も、湯船に浮かべたおもちゃを数えるところまでいけば立派な練習です。
- 数えたあとに「全部でいくつ?」と聞く。「数えられる?」で終わらせないこのひとことが、最後の数が答えだという理解を育てます。
- 指の動きをゆっくりに。指が声より先に走ってしまうときは、物をそっと押さえて、数が追いつくのを待ちます。
- わざと少なく。正確に数えた5個は、急いで唱えた20より多くのことを教えてくれます。
- 助数詞はさらっと添えるだけ。「ゾウさんが3頭だね」「鳥が2羽いるね」と大人が言いかえれば十分です。言い直させる必要はありません。
- ときどき逆から。前から数えるのが安定したら、「さん、に、いち、ドーン!」も。案外むずかしく、案外役に立ちます。

10まで数えることと、100まで数えることの違いは?
この記事で扱っているのは土台の力、つまり少ない数を意味をもって数えることで、ふつう2〜4歳ごろに育ちます。100まで唱えたり、10ずつ数えたりするのはそのあとの段階で、多くの子が6歳前後、小学1年生の算数で本格的に出会います。10がしっかりしてきて次が気になったら、100まで数えられるのは何歳?にその先の道のりをまとめています。
どんなときに相談したらいい?
この時期に心配しなければならないことは、ほとんどありません。上の目安の幅は、わざと広くとっています。3歳半〜4歳ごろになっても数にまったく興味を示さない、うながしても年齢を指で示そうとしない、前にははっきりできていた数える力がなくなったように見える。そんなときは、かかりつけの小児科医や園の先生に、落ち着いて相談してみてください。3歳児健診で保健師さんに話してみるのも、ひとつの方法です。
全体的な発達の目安を知りたいときは、母子健康手帳の年齢ごとの記録のページや、お住まいの自治体の子育て相談窓口も頼れる場所です。ただ、いちばん早く的確な答えをくれるのは、ふだんお子さまを見ている人です。
保護者の方からよくある質問
何歳で10まで数えられるようになりますか?
10まで順番に唱えられるのは、だいたい2歳半〜3歳半ごろです。10個の物を正しく数えて「全部でいくつ」がわかるのはそれとは別の力で、少し遅れて4歳前後が目安です。
3歳の子が物を数えまちがえるのは普通ですか?
とても普通です。3歳では、唱える力のほうが物を正しく数える力よりかなり先を行っています。ひとつ飛ばす、2回さわる、最後の数がずれるといったことはよくあり、その後1年ほどのあいだに、練習の中で落ち着いていきます。
2歳の子が数をばらばらの順番で言います。大丈夫?
まったく問題ありません。数のことばは、正しい順番より先に出てくることが多いものです。「いち、に、さん」の順番が安定するのは2歳〜2歳半ごろが多く、その先はゆっくりついてきます。
「し」と「よん」、「しち」と「なな」がまざります。直したほうがいい?
直さなくて大丈夫です。日本語では4・7・9に2通りの読み方があり、大人も場面によって使い分けています。順番に数えられていて、物と数が対応していれば十分です。大人がふだん自然に使っていれば、そのうち落ち着きます。



