2歳で10まで数えられるのは早い?

キッチンの床に座り、カラフルな重ねカップの列の横で指を2本立てている2歳の子ども。
この記事の内容
  1. 2歳で10まで言えるのは、早い?
  2. 暗記?それとも本当に数えている?3つの質問
  3. 10まで言えるのに、おせんべいの数がちがうのはなぜ?
  4. 早く数えられる子は、算数の才能がある?
  5. 次にできること(フラッシュカード以外で)
  6. 10の次は、何を目指せばいい?
  7. 気をつけて見ておきたいことは?

2歳の子が「いち、に、さん…じゅう」と正しい順番で言えるのは、ふつうの幅の中でも早いほうです。唱えられるのは確かな力ですが、たいていは覚えた唱えことばで、まだ「数えている」わけではありません。それは問題でも、天才のしるしでもありません。ごく普通の第一歩が、少し早めにやってきただけです。

結論から言うと:10まで唱えられるようになるのは多くの子で2歳半〜3歳半ごろなので、2歳でできるのは真ん中より早めですが、十分に普通の範囲です。数のことばを言えるのは記憶の力で、数えるとは、ひとつのことばがひとつの物をあらわすとわかること。この2つは1年以上離れてやってくることが多く、大事なのは2つ目のほう。3つの質問で確かめられます。

私たちは小さな子ども向けの数のアプリをつくっていて、すらすら数を唱えた2歳の子が、次の瞬間にちがう数のおせんべいを渡してくる場面をたくさん見てきました。どちらも普通です。ここでは、この年齢の「早い」が実際に何を意味するのか、唱えことばと、本当に数えていることの見分け方、早く唱えられることから何がわかり、何がわからないのか、そしてフラッシュカードではない次の一歩をまとめます。

2歳で10まで言えるのは、早い?

少し早い、というのが答えです。10まで唱えられるようになる典型的な時期はおよそ2歳半〜3歳半なので、2歳で、あるいは1歳台で言える子は早いほうです。多くの場合、それは何よりも、数のことばにふれてきた量のあらわれです。数え歌、階段をのぼりながらの「いち、に」、何でも数えるお兄ちゃんやお姉ちゃん。そして日本ならではなのがお風呂です。「肩までつかって10数えたら出ようね」という習慣のおかげで、毎晩10までの唱えことばを聞いている子はたくさんいます。よく耳にする数のことばは、家族やペットの名前と同じように早く覚えられます。

ただし、10まで言えるからといって、10という数がわかっているとは限りません。この分野の研究者は、数唱(ことばを順番に言うこと)と、集合数の理解(最後に言ったことばが「いくつあるか」の答えだとわかること)をはっきり分けています。ほとんどの子は先に唱え、あとからわかるようになり、その差は1年以上になることもよくあります。10まで唱える2歳の子でも、「5」の意味がわかるまでにはまだ1年ほどかかるのがふつうで、その点では先月唱え始めたばかりの3歳の子と変わりません。2〜4歳の全体の順番は10まで数えられるのは何歳?にまとめました。この記事は、その第一歩に早く着いた子のための話です。

暗記?それとも本当に数えている?3つの質問

プリントはいりません。ぶどう、積み木、ボーロなど小さな物を5つテーブルに置いて、次の順に試してみてください。それぞれが「数える」の別々の部分を確かめます。

お子さまに聞くこと唱えことばだけの子数え始めている子
「これ、数えてみて」(5個)10までのことばを一気に言い、指は飛んだり戻ったり、山の上でひらひら。ことばとさわる動きがずれていく。ひとつさわって、ひとつのことば、順番どおり。3や4で止まってもかまわない。動きとことばがそろっている。
「全部でいくつ?」(数えた直後に)最初から数え直す、適当な数を言う、または山に関係なく歌の最後の「じゅう!」と答える。数え直さずに、最後に言った数を答える。これが集合数の理解で、いちばん大事なところ。
「3つちょうだい」(たくさん入ったお皿から)1つだけ、ひとつかみ、またはお皿ごと渡す。2歳の多くはこうで、まったく普通。ちょうど3つ数えて、止まる。たいてい3歳半〜4歳ごろ、唱えるのが安定してから何か月もあとに見られる。

3つともできなくても、早めに唱えことばを覚えた典型的な2歳の姿そのものです。1つ目ができれば、次の段階が始まりかけています。3つともできたら、2歳では本当にめずらしいことですが、それでも何か特別なことをする必要はありません。

大人の広げた手のひらに、ぶどうをひとつずつのせていく小さな子ども。手のひらにはすでに3つのぶどうがある。
「3つちょうだい」。2歳ではひとつかみが普通の答え。ちょうど3つで止まれるようになるのは、もう1年ほど先です。

10まで言えるのに、おせんべいの数がちがうのはなぜ?

数のことばは意味よりずっと先にやってきて、意味はあとからひとつずつ追いついてくるからです。研究者は、子どもがたどる段階を、「1」はわかるけれどほかの数はみんな「いくつか」として扱う「1がわかる子(one-knower)」から始めて、「2がわかる子」「3がわかる子」と呼んでいます。一段ごとに何か月もかかり、多くは3歳半〜4歳のどこかで、ある日すべての数のことばが特定の量をあらわすのだと一気にわかるようになります。すらすら唱えられることと「1がわかる子」であることは、同時に成り立ちます。矛盾ではなく、それが普通の順番です。

だから、おせんべいの場面は数え方を忘れたのではありません。今どの数までわかっているかを、正確に見せてくれているのです。そのほうが、唱え歌がどこまで続くかより、ずっと役に立つ情報です。

早く数えられる子は、算数の才能がある?

正直に言えば、それだけでは何とも言えません。早い時期の数唱は、のちの算数の力を予測するものとしては弱いほうです。わかるのは主に、その子がたくさんの数のことばを聞いてきたことと、順番を覚えるのが得意なことで、どちらもすてきですが、どちらも計算ではありません。幼児期の数の知識についての研究で大事だとされているのは、日常の中でどれだけ数のことばかけを聞いているかです。「くつが2つ、いち、に」のような声かけが集合数の理解を育て、学校の算数はその上に積み上がっていきます。

見方を変えれば、早く唱えられるのは、数にふれる機会の多い家庭の環境がすでにうまく働いているしるしです。今していることを、そのまま続けてください。プレッシャーを足す必要はありません。

テーブルの上に置かれた、大きな黒い点が3つ描かれた白いカードを指さす小さな子ども。
数えなくても「いくつ?」がわかる。3つをひと目で見てとる力は数の感覚のもうひとつの柱で、唱えるだけでは育ちません。

次にできること(フラッシュカード以外で)

唱えることの次に来る力は、どれも「意味」にかかわるもので、勉強の時間ではなく、ふだんのちょっとした場面で育ちます。どれも短くてかまいません。

  • 少ない数の実物を数えて、「全部でいくつ?」と聞く。階段、ぶどう、靴下。数えたあとのひとことが、最後の数が答えだと教えてくれます。
  • 「〇つちょうだい」あそび。たくさんある中から2つ、次に3つ。ほめるのは数ではなく「止まれたこと」。今の数がかんたんになってから、ひとつ増やします。
  • さわる動きをゆっくりに。指が声より先に走るときは、ことばが追いつくまで物をそっと押さえます。
  • ことばだけでなく、量を見せる。さいころ、ドットカード、指。3を数えずに見てとる力(サビタイジング)は、数の感覚のもうひとつの柱です。くわしくはサビタイジングとはで。
  • ふだんから数を使って話す。「くつが2つ」「コップがもう1つ」「〇〇ちゃんは4つ、ママは1つ」。研究でくり返し大切だとされている数のことばかけで、お金もかかりません。
  • お風呂の10を少しだけアレンジ。ときどき湯船のおもちゃを数えたり、前から数えるのがかんたんになったら「じゅう、きゅう、はち…」と逆から数えたり。逆から数えるのは意外にむずかしく、そのぶん役に立ちます。
3枚のクラッカーがのったお皿の上で、大人の指と小さな子どもの指が同じ1枚にふれているところ。
クラッカーが3枚、1枚にひとつずつ指を。そのあとに大事な質問、「じゃあ、全部でいくつ?」

10の次は、何を目指せばいい?

20ではなく、意味です。2〜4歳の多くの子は、唱える、ひとつずつさわる、集合数がわかる、という順に進みます。年齢つきの全体像は10まで数えられるのは何歳?にあります。書かれた数字を読むのは別の力で、数字が読めるのは何歳?にまとめました。100まで唱えたり10ずつ数えたりするのはずっとあとの節目で、たいてい6歳前後。100まで数えられるのは何歳?で扱っています。

気をつけて見ておきたいことは?

早く唱えられること自体は心配の種ではありませんし、数が大好きなことも注意信号ではありません。かかりつけの小児科医に落ち着いて相談したほうがよいのは、数ではなく、子ども全体にかかわることです。2歳の子の話すことばのほとんどが数で、ほかのことばがなかなか増えない、気づいたことを指さして大人に伝えようとすることが少ない、名前を呼んでも振り向かないことが多い、といった場合です。1歳6か月児健診や3歳児健診も、こうしたことを専門職に聞けるよい機会です。これらは数の問題ではなく、全体的な発達の問題です。10まで唱えて、おしゃべりも指さしも遊びも楽しんでいる子は、ただ数が好きな子です。

保護者の方からよくある質問

2歳で10まで数えられるのは普通ですか?

はい、普通の範囲です。10まで唱えられる典型的な時期は2歳半〜3歳半なので早めではありますが、数え歌やお風呂での数唱、ふだんの数のことばかけが多い家庭ではよく見られます。多くの2歳児では、意味のわかった数え方ではなく覚えた唱えことばで、それが普通の順番です。

2歳の子の多くは10まで数えられますか?

多くはまだです。2歳の典型的な姿は、数のことばがいくつか、順番もばらばらで、「いち、に、さん」が安定するのが2歳〜2歳半ごろ。10まで唱えるのは3歳までに多くなります。2歳でできる子は真ん中より早いのであって、幅の外ではありません。

1歳半で10まで言えます。才能がある?

早いのは確かですし、その力も本物ですが、唱えるのは記憶で、算数ではありません。それだけでは、のちの算数の力を予測するものとしては弱いとされています。楽しみながら数のことばかけを続け、大きな数へ急がないでください。次に大事な力、「3」が3つの物だとわかることは、たいてい3〜4歳のあいだに、その子のペースでやってきます。

3歳で10まで数えられないのは遅い?

遅くありません。3歳で10まで唱えられる子は多いですが、まだの子も普通で、幅は3歳半くらいまであります。10個の物を正しく数えるのは別の力で、4歳前後で落ち着くことが多いもの。上手に唱えるのに5個の積み木を数えまちがえる3歳は、ごく順調です。

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