子どもに数字の書き方を教えるには

クリーム色の紙に、青いクレヨンで大きな「3」を書いている、小さな子どもの手。
この記事の内容
  1. 数字が書けるのは何歳ごろ?日本の園と学校では
  2. そろそろ始めどき?準備ができたサイン
  3. どの数字から始める?おすすめの順番
  4. 数字の書き順と「書き始めの位置」
  5. 体ぜんぶを使う、書き方の練習のコツ
  6. まだ数字が書けない子には
  7. 手で数字を書くことは、本当に役に立つ?

多くの子が、読みとれる形の数字を書けるようになるのは4〜6歳ごろです。ただし個人差はとても大きく、学校で数字の書き方と書き順をきちんと習うのは、小学1年生の4月から5月にかけてです。

結論から言うと:きれいさより先に、形のつくり方を伝えましょう。鉛筆をどこに置いて、どちらへ動かすのか。練習は短く、遊びの気分のままで。お友だちと比べて早い・遅いがあっても、それだけで何かがわかるわけではありません。

私たちは数える遊びのアプリ99 Math Animalsをつくっていて、子どもが指で書いた数字を読みとる手書き認識の部分も自分たちで開発しています。そのため、4歳の子が書く3や5、なんとか形にしようとがんばった8を、本当にたくさん見てきました。そこからはっきりわかったのは、見た目がととのっているかどうかより、どんな動きで書いたかのほうが大事だということです。よろよろの2でも、正しい動きで書いていれば、練習するうちにきれいな2になります。反対に、見た目はきれいでも、下から書き上げた数字や、ばらばらの線を寄せ集めた数字は、動きのクセそのものが不自然なので、いつまでも書きにくいままになりがちです。

数字が書けるのは何歳ごろ?日本の園と学校では

「何歳になったら書ける」という決まった年齢はありません。多くの子は4〜6歳ごろ、まずお手本を見て写すところから、読みとれる数字を書き始めます。指先の力や興味、それまでに鉛筆やクレヨンでどれだけ遊んできたかによって、時期は前後します。この記事に出てくる年齢も、締め切りではなく、おおよその目安として読んでください。

日本の場合、入学前に数字を書けることは求められていません。幼稚園教育要領が領域「環境」で挙げているのは、日常生活の中で数量や図形などに関心をもつこと、簡単な標識や文字などに関心をもつことで、数字を書く練習までは含まれていません(保育所保育指針や認定こども園の教育・保育要領も、3歳以上についてはほぼ同じ内容です)。数字の書き方を習うのは小学1年生の算数の最初の単元です。単元名は「なかまづくりとかず」「かずとすうじ」など教科書によってちがいますが、4月中旬から5月上旬にかけて、10までの数の読み方・書き方を練習します。年長さんが自分から楽しそうに数字を書いているなら、それは少し先取りしているということ。まだ書けない子が遅れているわけではありません。

1年生の国語でも、書写で「姿勢や筆記具の持ち方を正しくして書くこと」「筆順に従って丁寧に書くこと」を学びます。学習指導要領は1・2年生について、運筆の力が伸びるよう指導を工夫することも求めています。ひらがなと数字は、ほぼ同じ時期に、同じ「書き順を守って、ていねいに」という考え方で教わるわけです。お子さまがもう小学生で、順調かどうか気になるときは、同じ年の子を毎日たくさん見ている担任の先生に聞くのがいちばんの近道です。

そろそろ始めどき?準備ができたサイン

数字を書く力は、それより前に育つ力の上に成り立っています。見るべきなのは完璧にできるかどうかではなく、土台があるかどうかです。次のことがだいたいできていれば、始めどきです。

  • クレヨンや太めの鉛筆を持って、ねらって線をかける(ただトントンとたたくだけではない)。
  • 上から下へのたて線、左から右へのよこ線、ななめの線を、まねしてかける。
  • でこぼこでも丸をかいて、最後に閉じられる。
  • 文字や数字に興味を示す。指さしたり、「これなんて読むの?」と聞いたりする。
  • 小さなお絵かきに、2〜3分すわって取り組める。

線や丸がまだむずかしいなら、先にそこに時間を使いましょう。ぬり絵、迷路、点つなぎ、粘土、ビーズのひも通し、シール貼り。市販の運筆ドリルにあるような、線をたどる遊びもこの段階にぴったりです。手が育つ前に数字へ進むと、たいていは親子ともにイライラが残るだけです。

どの数字から始める?おすすめの順番

まっすぐな線でできた数字から始めて、曲線の多い数字はあとにします。多くの子に合う順番は次のとおりです。

  • まず1。上から下へ、まっすぐ1本。いちばん簡単に「できた!」が味わえて、自信につながります。
  • 次に7と4。ほとんどがまっすぐな線と角です。4は学校では2画で書くのが一般的で、1画目はななめに下ろして横へ、2画目がたて線です。
  • それから3、2、5。曲線と、向きを変える動きが出てきます。5も2画で、たての線からおなかの丸までが1画目、上の横線が最後です。
  • 最後に6、9、8、0。くるっと回って閉じる数字は、きれいに閉じるのにいちばん手先の器用さがいります。

8は本当にむずかしい数字で、いちばん最後になり、しばらく形がくずれたままでも普通です。2も「曲げて、ななめに下ろして、まっすぐ横へ」をひと筆でこなす必要があり、小さな手には大仕事です。この2つがほかより遅れても予想どおりのことで、心配のサインではありません。3や5が左右反対になる鏡文字も、この年ごろにはとてもよく見られ、たいていは自然に消えていきます。くわしくは数字の鏡文字はいつまで?にまとめています。

数字の書き順と「書き始めの位置」

日本の1年生の教科書には、数字にも書き順と書き始めの位置が示されています。数字の書き順には国が定めた統一の基準はなく、教科書によって示し方が少しちがうこともあります。それでも、学校で習う書き方に家でも合わせておくと、子どもが迷わずにすみます。

つまずきやすいのは、書き始めの位置です。多くの教科書では、0は上から左回りに書き、8も上から左回りに書き始めて、最後に書き始めの点へもどる形で示されています。0を下から書き始めたり、8を丸を2つ重ねて書いたりするクセは、一度つくと直しにくいものです。書き終わりがきちんと閉じずに、0と6のように形の似た数字がまぎらわしくなることもあります。入学後は、お子さまの教科書や学校のプリントで書き順を確かめて、最初の何回かはそばで見てあげてください。

年齢・学年の目安数字を書くことでよく見られる姿
3〜4歳ごろ(年少)なぐりがきから、丸やたて線・よこ線をねらってかけるようになる。数字は「1」らしきものが出てくる程度で普通。
4〜5歳ごろ(年中)お手本を見て、1・7・4など直線の数字を写し始める子が多い。大きさも向きもばらばら。
5〜6歳ごろ(年長)0〜9のいくつか、またはほとんどを書ける子が増える。鏡文字や、下から書くなどの自己流の書き方もよく見られる。
小1の4〜5月算数の最初の単元で、10までの数の読み方・書き方を書き順とともに習う。ノートのマス目に収めて書く練習も始まる。
小1〜小2形が少しずつととのい、速く書けるようになる。2や8の形のくずれ、鏡文字は、このころまで残ることもある。

体ぜんぶを使う、書き方の練習のコツ

書き方とは、つまり鉛筆がたどる道すじのことです。どこから書き始めて、どちらへ進み、どんな順番で書くか。その道すじを、声に出しながら体全体を使って教えるほうが、プリントを渡して様子を見るより、ずっとよく伝わります。役に立ちやすい方法をいくつか紹介します。

  • まずは大きく。紙いっぱいに、ホワイトボードに、または空中に、腕全体を使って大きく書きます。小さな子には、指先の細かい動きより腕を大きく動かすほうが簡単で、その動きがあとから鉛筆の大きさに縮んでいきます。
  • 空書き(そらがき)。人さし指を立てて、空中に数字を書きます。学校でも、ひらがなや漢字の書き順を覚えるときによく使われる方法です。「上から、まっすぐ下」のように、動きを親子で声に出しながら書きます。
  • 書き方の「となえことば」。「1はまっすぐ下」「0は上から、くるりと左回り」のように、数字ごとに短いことばを決めます。書きながら言うと、ことばと動きが結びつきます。
  • なぞる→薄くする→ひとりで。最初は太いお手本をなぞり、次は点線、次は薄いお手本、最後は何もないますに自分で書きます。手助けは少しずつ外していきます。
  • 手ざわりを使う。塩や砂を入れたトレーに指で書く、くもった窓ガラスに書く、お風呂の壁に泡で書く。感触が加わると、動きが記憶に残りやすくなります。
  • 目的のある「書く」を。手づくりの絵本にページ番号を入れる、家族みんなのおやつの数をメモする。同じ数字を20回書かせるより、ずっと身につきます。
ホワイトボードに、青いマーカーで腕全体を使って大きな「5」をかく子ども。
まずは大きく。ホワイトボードいっぱいの5は、鉛筆を持つ前から形を教えてくれます。
点線でふちどられた数字の練習プリントと、鉛筆でなぞっている途中の子どもの手。
なぞる、薄くする、ひとりで書く。回を重ねるごとに、手助けを少しずつ減らしていきます。
木のテーブルに置いた浅いトレーの塩に、指で「3」をかく子ども。
塩のトレーなら、書く練習が手ざわりの遊びに変わります。ならせば、すぐに次の1回が始められます。

まだ数字が書けない子には

まずは肩の力を抜いてください。4歳、5歳で「まだ書けない」のはごく普通のことで、無理にやらせるとたいてい逆効果です。心配する前に、次のことを試してみてください。

  • 一歩もどる。数字がつらそうなら、1週間ほど線や丸や形の遊びにもどって、それからまた始めます。
  • 目標を小さく。いちばん簡単な数字ひとつに絞り、気持ちよく書けるまで続けます。しっかりした1がひとつ書ければ、それだけで立派な前進です。
  • 持ち方と道具を見直す。細い鉛筆より、三角形の太いクレヨンや鉛筆のほうが小さな手には持ちやすく、筆圧の弱い子には濃いめの芯(2Bなど)も助けになります。
  • 考えることと書くことを分ける。ときには子どもが答えを口で言い、書くのは大人が引き受けます。手がまだおぼつかないせいで、算数そのものまで止まってしまわないように。
  • ハードルを下げる。赤ペンで直さない、「もう1回」と言わない。きれいさではなく、がんばりと正しい動きをほめましょう。

数のことはちゃんとわかっているのに、書くことそのものがとてもむずかしい子もいます。その差が大きく、長く続くとき、あるいは小学生で担任の先生も同じことを気にしているときは、担任の先生やかかりつけの小児科医に相談してみてください。学校には、相談の窓口になる特別支援教育コーディネーターの先生もいます。字の乱れと書字障害のちがいは字が汚いのは書字障害?にまとめました。私たちは算数アプリをつくる立場なので、ここから先は専門家におまかせします。

手で数字を書くことは、本当に役に立つ?

正直に言うと、役に立つ可能性はありますが、その根拠は、話題になっているほど確かなものではありません。手で書くほうがキーボード入力より学習や記憶に有利だとする研究はあり、手で形をつくると覚えやすいという考えも、もっともらしく、広く受け入れられています。ただ、その多くは文字や読みについての研究で、数字についてのものではなく、結果もまだ一致していません。数字に限ってどれくらい大事なのかは、まだよくわかっていないのです。

ですから、「算数では手書きのほうが画面より効果がある」と証明されているとは言えません。毎日子どもが数字を書くところを見てきた私たちに言えるのは、手で数字を書くとき、子どもは見て選ぶだけのときより手をゆっくり動かし、形によく注意を向けているように見える、ということです。数える、話す、量で遊ぶといった経験と並べて、手書きも少し取り入れておく理由としては、それで十分だと考えています。どちらか一方を選ぶ必要はありません。

保護者の方からよくある質問

数字は何歳までに書けるようになればいい?

多くの子は4〜6歳ごろに読みとれる数字を書き始めますが、個人差が大きく、入学前に書けることは求められていません。学校では小学1年生の4〜5月に、10までの数の読み方・書き方を書き順とともに習います。気になるときは担任の先生に聞くのが近道です。

どの数字から教えるのがいい?

まっすぐな線でできた1、次に7と4から始めます。曲線のある3・2・5がその次で、くるっと閉じる6・9・8・0は最後にします。8と2は本当にむずかしく、最後になるのが普通です。

数字にも書き順はある?

あります。小学1年生の教科書には数字の書き順と書き始めの位置が示されていて、4と5は2画で書くのが一般的です。国が定めた統一の基準はなく、教科書によって少しちがうこともありますが、家でも学校の書き方に合わせておくと子どもが迷いません。

数字を反対向きに書くのは問題?

いいえ。3や5の鏡文字は7歳ごろまでとてもよく見られ、書くことに慣れるにつれて自然に消えていくことがほとんどです。それより長く、ひんぱんに続く場合や、ほかの心配と重なる場合は、担任の先生に伝えてみてください。

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